高齢の親の家を片付ける方法
親の家や実家を片付けたい。でも、どこから手をつければいいのか分からない──。
- 「物が多すぎる」
- 「親が捨てたがらない」
- 「話を切り出しにくい」など、
実家の片付けは予想以上にハードルが高いものです。体力的な負担だけでなく、感情や家族関係に関わる部分も多いため、時間が経つほど悩みは深まります。
本記事では、高齢の親との価値観の違いに配慮しながら、着実に片付けを進めるための考え方やテクニックをまとめました。親子で無理なく進められる方法を、実践的かつ心理的な視点からご紹介します。
親の家の片付けが難しい理由とは?
親世代と子世代の価値観の違い
戦後や物不足の時代を経験した親世代にとって「物は捨てずに大事に取っておくもの」。一方、子世代にとっては「快適な暮らしのために必要な物を厳選する」が常識。こうした価値観の違いが、片付けの進行を難しくしています。話し合いがかみ合わず、片付けがきっかけで口論になってしまうこともあります。
捨てることへの心理的抵抗
「もったいない」「いつか使うかも」「思い出がある」──親の家には、感情が詰まった品物が多くあります。これを“捨てる”ことは、親にとって人生の記憶を手放すことに近く、大きなストレスとなることも。特に遺品や写真、昔の手紙などは家族の歴史でもあり、雑に扱えないという想いが強くあります。
まずは「気持ち」に寄り添うことが第一歩
「安全に暮らしてほしい」「転倒のリスクを減らしたい」など、片付けの目的を“親を責める形”ではなく、“思いやり”として伝えることで、受け入れてもらいやすくなります。伝え方一つで、反発が減り、信頼を深めながら進められます。
いきなり大量に捨てる提案をするのではなく「使っていない物をまとめる」といった“保留”からスタートするのがポイントです。「これは使っている?」「これは残したい?」と、ひとつひとつ確認しながら進めましょう。
家族間トラブルを防ぐ具体策
事前の家族会議がカギ
兄弟姉妹の間で「財産的な思惑」や「誰が片付けを担当するか」といった意見の食い違いが起きやすいのが実家じまい。親が元気なうちに、家族全員で集まり「片付けの方針」や「今後の実家の扱い」を話し合うことが重要です。誰か一人が独断で進めると、後から不満や不信感が生まれやすくなります。
親への伝え方:NG例とコツ
- NGワード:「早く捨てて」「なんでこんなに物があるの?」「汚い」など、責める言葉
- OKな伝え方:「安全のために少し片付けておこうか」「今のうちに整理しておくと安心だよ」など、目的や思いやりを前面に出した声かけ
高齢者特有のハードルに配慮する
高齢者の片付けには、身体機能や認知機能の変化への配慮が欠かせません。白内障による視力低下、関節の痛み、軽度の認知症などは、片付けの理解や判断を難しくさせます。
場合によっては、地域包括支援センターなどを通じて介護・福祉の専門家の助言を受けることも視野に入れてください。特に「物の場所が変わると混乱する」タイプの高齢者には、見える収納やラベル貼りが有効です。
一時保管やトランクルームを活用する
「どうしても捨てられない」「今は判断できない」という物は、無理に手放す必要はありません。そんなときは、トランクルームやレンタル収納スペースを活用することで、一時保管が可能です。
収納スペースを一時的に外部に持たせることで、住環境を整理しながら心の整理をゆっくり進めることができます。費用も小型タイプなら月数千円から利用可能なため、導入のハードルも比較的低いです。
続けられる工夫7選+α
1.15分だけタイマーで区切る
時間を短く設定することで、心理的な負担が軽減されます。
2.ビフォーアフターの写真を撮る
目に見える変化は大きな励みになります。
3.片付けたらお茶、ご褒美ルールをつくる
頑張った自分にやさしくご褒美を。
4.音楽を流す・テーマを決める
リズムに乗って楽しく片付けましょう。
5.片付け日記をつける
どこをどう片付けたかを記録することで達成感が増します。
6.カレンダーにシールを貼って達成感を視覚化
日々の積み重ねが見えてくるとやる気が続きます。
7.名前をつけて楽しく(例:思い出コーナー)
ゲーム感覚で片付けを楽しむ工夫です。
一緒にやる相手を見つける
家族・友人・便利屋など、誰かとやることで精神的な負担が軽くなります。
片付けの基本ステップ(5段階)
1.全部出す
まずはその場所の中身を全部出す。隠れていたものに気づけるチャンスです。
2.中身を分ける
- 「使っている」「使っていない」「迷っている」に分類。
- 迷い箱を活用するのも◎。
3.捨てる
思い切って処分、とはいかなくても、写真で残して手放す方法もあります。
4.収める
使う場所の近くに収納すると使いやすく、散らかりにくくなります。
5.維持する
「戻す場所を決める」「ルール化する」ことでリバウンドを防ぎます。
最初に手をつけるならどこ?
片付けのスタートは「成果が見えやすい場所」からが基本です。最初から押し入れや物置などの大物に挑むと、途中で挫折してしまうことも。小さな成功を積み重ねるのがコツです。
- 玄関:靴を間引き、収納を見直すだけで印象が激変します。
- 洗面所:使っていない試供品や古いタオルを処分してスッキリ。
- 紙類:書類・段ボール・チラシは3分類して整理。「今必要」「一時保管」「処分」などに分けましょう。
実家や親の家に特有の工夫
「捨てる」ではなく「まとめる」提案から始める:負担を減らす第一歩に。
仏壇や思い出の品は「写真で記録」または「保留箱」に入れて処分を先送りに。
「しまいこむ」より「見える収納」で安心感を:忘れ物・探し物を防ぎ、心も落ち着きます。
プロに頼むという選択肢も
家事代行・掃除代行・片付け代行の違い
- 家事代行:料理・洗濯など日常家事の延長
- 掃除代行:水回りなどの専門清掃(換気扇、浴室など)
- 片付け業者:不用品処分・遺品整理・ごみ屋敷対応なども可。大掛かりな作業や遠方対応も得意。
「どれを選べばいいか分からない」場合は、柔軟に対応できる地元の便利屋がぴったりです。特に高齢者宅には、顔が見えて安心できるサービスが重宝されます。
片付けの先に考えること
空き家管理や売却など今後の暮らしの選択肢
放置すると劣化やトラブルの原因に。相続・遺品整理などの法的な準備:事前に手を打っておくことで、家族間トラブルを回避。
定期的な訪問や見守りサービスの活用
片付けをきっかけに「親を見守る」ことにも目を向けましょう。
まとめ
- 親の家の片付けは「価値観のズレ」に気づくことがスタートです。
- 完璧を目指さず、“今日少しだけ”の積み重ねが成功の鍵。
- プロの手も上手に借りながら、家族みんなが納得できる片付けを目指しましょう。
- 片付けは物理的な作業だけでなく、家族の気持ちを整えるきっかけにもなります。
実家の片付けでお困りの方は、南島原の便利屋「おとなりサポート」までお気軽にご相談ください。